異文化の間で。

  
  今回の授業で、一冊の本との出会いがありました。
    実話をもとにした作品です。
    要所を大まかに書いたので、わかりにくいかもしれませんが、
    みなさんはこの本についてどう考えますか。

**********************************
    『The spirit catches you and you fall down』
     ~A Hmong Child , Her American Doctors,
        and the Collision of Two Cultures~

    『悪霊にとりつかれたとき、生命は崩壊する』
    ~ モン族と、その医者達の異文化衝突の記録~


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   ベトナム戦争中、ラオスに住んでいたモン族達が、
   残虐な扱いを受け、耐え切れず何家族達が固まって亡命。
   道中、ベトナム兵に見つかれば、
   子供、女問わず、全員銃殺の運命。
   運よく、タイに逃げることができたうちの数家族が、
   数年後、アメリカ合衆国に引き取られる。

   モン族は、シャーマニズム(呪術教)の教えを含んだ、
   独自の文化を持っている。
    *赤子の周りで大人たちが、ドアを激しく開閉すれば、
      その雑音が原因でその子供は病気になる。
    *出産後、胎盤を家に持ち帰って埋める。
      男の子のは家の中央の地下に。
      女の子のは両親の寝室の下に。
        (この習慣を怠れば、その子供たちは、
            悪霊にとりつかれ、健康に生きられない。)
    *病気になったら、葉っぱをすりつぶして、その粉を身体に塗る。
    *回復を祈願して、豚やにわとりなどの家畜をと殺にかける。
    *現代の医療、科学技術などは信用していない、知識もゼロに近い。

                           (これらはほんの一部。)
 
  原始的な価値観を持った民族が、
  この先進国アメリカで生活しながら、
  アメリカ人と、最先端医療と、衝突していく。

  モン族の女の子、リア、4歳。
  発熱、発作、下痢、などをなんども繰り返し、病院へ運び込まれる。
  原因不明。 両親が英語を話せないため、娘の状態を説明できない。
  脳障害と推定。
  アメリカ、カリフォルニア州、MCMC診療所の医者達は彼女を救うべく、
  最善を尽くす。

  が、リアの両親は、医者達の処置を見て、動揺、狼狽し、
  『麻酔はやめてくれ』、
  『そんな薬は毒だ』
  『娘を殺す気か』 
 と言い放つ。
  
  通訳がいつも一緒にいるわけではない。
  治療開始から、両親は診療所に一度も治療費を払ったことはない。

  診療所ではリアの治療がおぼつかなくなり、
  大きな病院へ搬送すると、
  『MCMCの医者は、自分の休暇で一週間も病院を空けるから、
   娘を別のところに追いやったんだ』 と両親は誤解。
   
  医療を否定する反面、発作が起こるたびに、救急車を呼びつけ、
  診療所に運ばせる。
     (これは、本を読みながらずっと疑問だった部分、今も不明)
  
  そんな両親に苛立ちながらも最善を尽くす医者達。
 
  薬を処方しても、飲ませない。
  医者達に反発する両親。
  
  医者達はリアの両親を『幼児虐待』とし、裁判所に申し立てへと・・・。
  (子供への適切なケアができていないと判断したため)

  裁判所は強制的に、アメリカ人の夫婦の元へとリアを里子として送る。
  リアは両親恋しさに、泣きじゃくり、暴れ、病状は悪化。

  『アメリカが娘を取り上げた、
     理由もわからない、嫌がらせだ』 と 両親。
  毎日、娘を想い、不安に陥り、父母ともに精根尽き果てる。

  6ヶ月の養子生活中に、里親はリアを両親の元に戻すべきと認識。
  服用させていた薬は、リアの病状の治療とは合わないのではないか、と気づく。
 
  最後、医者達も恐れていた最大の発作がリアを襲い、脳死の状態に。
  もう延命処置をする希望もない、死を待つのみ・・・。
  両親はリアを自宅に連れ戻し、静かに最後を看取りたいと乞い、
  診療所側は、瀕死状態のリアを親元に戻した・・・。
                         著者 アン・ファディマン
                         タイトル訳  せろり
************************************

  この異文化衝突が教育の現場で起きたらどうなるのか。

  アメリカでは、移民者も増え続けているし、
  ある一定の数で難民達を受け入れています。
      (モン族たちは、移民者ではなく、難民者。)
  英語をきちんと話せず、文化の違いをもった子供たちが、
  公立の学校の一般教室で、他のアメリカ人の子供たちと、勉強をするわけです。
   
  教師達への負担は相当なものですが、これが現状であります。

  日本ではまずありえない話ですが、
  私ならどうやって教室運営をするんだろうかと考え、
  
     子供は柔軟性があるから、
     第2言語発達、異文化への順応は大人よりも早くてストレスを伴わない。
     でも、長年の価値観に固定されてしまった大人とどう接していくか、
     教師と親にはさまれた子供達はどうなるのか、
  
   が、行き着いたところです。
  
  授業中、ディスカッションをしたのですが、
  クラスメートたちも、ちょっと困った様子。
  (モン族の文化と自分達の文化のギャップがあまりにも大きかったため)

  アメリカの教師は、科目授業と並行に、
  英語、異文化教育も導入していかなかればならないので、
  日本の教師とはまた違った大変さがあります。

       本に登場してた、リアは現在22歳。
       植物人間にはなったものの、   
       病院には通わず、家族に囲まれて
       穏やかに生活しているそうです。
       

     先日、クラスメートがインターネットでこの情報を入手。

  
  

   

   

   
   
   
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by celori20 | 2007-08-15 15:53 | 学業 | Comments(8)
Commented by cazorla at 2007-08-16 08:29
スペインは さすがに モン族ほど 違う文化は入ってこないけど
イスラムの子供達と 同居してます。 
ことばに関しては やはり言語学者が特別授業をしてる。
うちの長女がスペインに紀田のが四才だったから 最初 言語学者と授業がありました。 すごくこまかい項目にかんして 報告してくれます。
たとえば brの発音が あいまい とか。
そのうち ゆっくりこのテーマで書いてみたいです。
前いた学校は モロッコほかアフリカ各国  イラン ポーランド アメリカ
ラテンアメリカ の子供がいました。 現在 田舎なので また雰囲気はちがいますが 前のマドリッドの学校の経験は 娘にとってよかったと思います。 確かに 先生はたいへん。 田舎の先生って らくだなって思ってしまいます。
Commented by celori20 at 2007-08-16 15:46
スペインにもいろんな人種がいるんですね。
単一民族の日本はこれから珍しい方になるかもしれませんね。
日本でも最近たくさん外国人見ますけどね。
教育も時代の変化に合わせて変えていかないといけないから、
どこの国の先生も大変ですね。。。^^
Commented by takehaya at 2007-08-18 00:14 x
日本で生活している外国人は自分で選択してこの国に来たか、
長年日本に住んでる人なので、
最初から違うということを認識しているから、
このような異文化の衝突はほとんどないだろうね。
この両親がどのように考えていたか詳しく知りたいところです。
Commented by じょん at 2007-08-18 22:23 x
ニューオーリンズでも同じような移民が同じような問題を抱えて
暮らしてるって聞きました。彼らはモルモン教徒でしたけど。
でもこういうのって、「これが答え」みたいなのってないと思いますよ。
特にこの国は、実はあんま知られてないですが数百という少数民族が
存在してるし、彼らに一律に対応できる方法を探すよりも、お互いに
レスペクトして存在を認め合うことからはじめるのが打開策につながる
んじゃないかなあと思います。

どんなもんでしょうかw
Commented by serendip_love at 2007-08-22 08:14
「人それぞれ」とは単純に言えない状況もあるんだと、再認識しました。自分の選択で異文化に飛び込む人もいるし、こうして命がけで外国にやって来る人もいる。その子供たちにとっては、まるで選択の余地がないのですものね。それを受け入れる側の葛藤もあり、一概には言えないのでしょうけれど、「違いを受け入れる」ことができればいいなと思います。そして、やはりコミュニケーションは大事ですね。どの言語を使うにしても、意思疎通は必要だと思います。せろりさんが要約してくれた内容を見ていると、どうもご両親と医師たちの間に、しっかりしたコミュニケーションが取れていなかったのではないか、と感じました。

いやー、考えさせられました。ありがとうございます。
Commented by celori20 at 2007-08-23 04:45
*たけさん、
 そうなんですよ、そこが移民者と難民者の違いみたいです。
 移民者は、予備知識を入れて移住してきますが、
 難民者は、ただ自国から逃げたくて、とにかくどっか受け入れてくれる
 国にすがりつくだけです。この両親はあまりアメリカには行きたがらな  かったみたいです。
Commented by celori20 at 2007-08-23 04:50
*じょん、
うん、『答え』は簡単ではないけど、日々何か良い方法はないか、と模索していかなければならないから、大変だね。
『お互いの尊重』はあくまでも理想。モン族の人たちは、先進国で生きる人のような、教養はまったくないから、『尊重』って言葉や意味は未知に近いと思う。でも、アメリカは彼らを罰したり、抑圧したり、はできないし、保護してあげなければならない立場にある。。。難しい!
Commented by celori20 at 2007-08-23 04:55
*村上さん、
コミュニケーション不足はかなり大きいですね。なんと言っても、英語を話せない、話そうとしない、というのは大きな壁です。それに、現代社会で一般的になっている原理や理屈がこの両親にはまったくわけのわからないへんてこりんなお経のようにしか見えない、聞こえないというのも、大きいですね。ただのコミュニケーション不足の域を超えているので、この本を読んでいてとってもイライラしました。。。。
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